こんにちは、
今日は保育園の子どものお迎えのため、たった二駅分電車に乗る5分、というすき間読書で読んでいる本を少し紹介します。
話題の子ども絵本も出てきます。
大人におすすめ かなしくも美しいアンダルシアの散文詩
先日すき間時間に読んで面白かったのが、J.R.ヒメネス『プラテーロとぼく』(岩波書店)
舞台はスペインアンダルシア地方、ロバのプラテーロとぼくの138つのお話です。
叙情的な自然の美しさや町に住む人々の小話、ぼくがプラテーロと見かけた生活の営みなどが1.2ページの中に収められています。
だいたい牧歌的センチメンタルな感じなのですが、たまーに衝撃的すぎる事件が挟み込まれていて(いたずらずき少女が落雷で丸焦げとか!)、意外と飽きずに次が気になってしまいます。
スペインに行ったことはないのに、情景が浮かんでしまうのは、ノーベル文学賞受賞者であるヒメネスさんの実力なのでしょうか。
いつの間にか好きになる感じの本でした。
岩波少年文庫なので、子ども向きなのかもしれませんが、この良さがじんわりわかるのは世の中の柔らかな絶望感を知っている大人ではないでしょうか。。
話せるとか話せないとかじゃなく…ただ知りたい世界の言語
今、読んでいるのは黒田龍之助『世界の言語入門』(講談社現代新書)。
ロシア語が専門の言語学者の本ですが、大学を辞職するまでの90日、毎日違う言語について思いつくことを楽しく書いてみよう!ということではじめたお話なので、言語学?何?大学生向け教科書なんか読みたくないよっ!いう人にも全然大丈夫な敷居の低いエッセイ集です。
聞いたことがあっても地図ではわからない国の言葉や、同じような地域でも歴史や政策によって分けられてしまった言葉。
色々あるのですが基本筆者は多言語ラブの文字マニアで、専門じゃない言語の教科書や入門書などでも片っ端から古書店で買い集めてきては、
この文字いいなぁとかこの言葉使ってみたいなぁとかの憧れのつぶやきだらけ。
1言語が見開き1頁で紹介され、切手や絵本、CDジャケットなどのカットが入っています。
言語の中にもやはり、話者人口や文法の特殊性、文字表記の歴史の長さなどの違いがあり、
大きい言語が小さい言語を攻撃したり軽視する現状を著者は嘆いています。言語学者への自分の専門外の言語への寛容さや関心を勧めています。
まぁ私たちにとっては、一生に一度も使わない行かない話さない言葉ばかりなのですが、世界旅行の気分が味わえます。
筆者の、理解が難しかったり、文法だったり発音だったりが不自由に思える言語でも、その違いを面白がれる、すごいなぁと使えるようになってみたい!という謙虚なスタンスが読んでいて気持ちがいいです。
子どもが白杖や車いすの人に気づくようになったら…一緒に読もう
さて、この違いを面白がれる、という所で最近話題の絵本が
ヨシタケケンスケ『みえるとかみえないとか』ですね。
人間のこどもが目が3つあったり、手がいっぱいあったりする宇宙人の星に行くと、「かわいそうだね」「ふべんだねぇ」と気づかわれる話。
マイナー言語と同じく、本人は全くそれが「ふつう」。
先日ファーストフード店にいた視覚障がいの学生さんに店員さんがパッと空席を案内していました。
コーヒーに砂糖まで(もちろん確認してから)入れてあげていて、丁寧だなぁと思いましたが、多分砂糖は本人でも入れられたかも。と今思いました(同じ形の塩入りスティックはなかったのでね)。
言語の違いでも、身体の違いでも、精神や性格の違いでも、
どんなところが私とあなたで違っていて、一緒に生活するためには、どんな事が必要か
もっとお互いにコミュニケーションしなければいけないんだなぁと思いました。